電気通信大学 共同研究センター 客員教授/
(株)キャンパスクリエイト 代表取締役 安田耕平氏
(株)キャンパスクリエイトは,電気通信大学のTLOである.大学と社会の掛け橋となり,大学のアウトソーシングの受け皿となることを目指して,7年目前に設立された.本講演では,大学技術移転の手法とこれまでの実績についてご紹介いただいた.
教育,研究に続く大学の第三の使命として社会貢献があるが,技術移転はその一形態である産学官連携に位置づけられている.キャンパスクリエイトにおける技術移転で特に意識しているのは,大学の特徴を生かすという点である.そのために,企業との共同研究や人材育成に注力してきたが,産・官・学にはそれぞれの特徴があるため問題が生じる場合もある.
特に企業と大学との共同研究では,企業が大学研究室に技術上の問題解決を依頼する上で,他企業への外注の場合と同様の効率や資金,成果を要求することがある.大学における研究成果は必ずしも事業化に結びつくわけではないため,企業にはこの点を理解してもらう必要がある.このような両者の違いを理解し,大学側には期限内の契約履行を,企業側には大学との違いを理解するよう調節を行うことが,TLOの重要な役割である.このような調整に必要となるのは,コーディネーターの存在である.キャンパスクリエイトでは,コミュニケーション能力を重視したコーディネーター人材の採用・育成に力を入れている.
また,地域貢献として,墨田区や江戸川区のように大学がない地域の中小企業と大学のマッチング事業も手がけている(コラボ産学官).
→株式会社キャンパスクリエイト
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早稲田大学研究推進部 事務部長 加藤幸男氏
本講演では,早稲田大学産学官研究推進センターの概要についてご説明いただいた.
早稲田大学産学官研究推進センターは,1995年の科学技術基本法制定を受け,1996年に学外連携推進室設置を経て,1999年にTLOとして承認された.現在41機関ある承認TLOの中でも4番目と,早い段階で承認された組織である.業務内容として,技術移転,知的財産管理等を行っている.
アメリカでは,約2000大学中の200大学ほどでTLO活動が行われている.しかし,その実績が高いものは20機関ほどだといわれている.
日本のTLOは,アメリカの後追いではないかといわれている.しかし早稲田大学産学官研究推進センターでは,アメリカから何か学ぶものがあるのではないかと考えた.そこでクリーブランドから専門家を3ヶ月間招聘,2年目はNYの特許事務所から同期間招聘した.2000年には自身も特許庁から派遣され,インディアナ大学,パデュー大学の技術移転オフィスに4ヶ月滞在した.このような協働を通じて,TLO業務のノウハウを伝承させてもらった.
早稲田はまだ株式公開するようなベンチャーがでてきていない.また理工学部と連携したようなハイテクベンチャーの数も少ない.今後は,各機関と全体(本部)の連携が課題であろう.
→早稲田大学産学官研究推進センター
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