【環境改善に挑むベンチャー】
循環型社会形成へ 21世紀の挑戦
講師:(株)産学共同システム研究所 代表取締役
国立大学法人 北見工業大学 理事 白井 達郎
下関市における廃FRP等再資源化事業の概要
講師:西日本マリンリサイクル(株)代表取締役社長
(株)タイムアソシエイツ 会長 吉井 昌信
コーディネーター:
テクノベンチャー(株)元社長 上條 正夫
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産学共同システム研究所・
北見工業大学 白井氏
西日本マリンリサイクル・
タイムアソシエイツ 吉井氏
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循環型社会形成へ 21世紀の挑戦
産学共同システム研究所/北見工業大学 白井氏
「循環型社会形成へ 21世紀の挑戦」というテーマで講演していただいた。冒頭にトヨタ自動車の環境政策に関する事例をVTRで紹介の後、循環型社会形成の概要の説明があった。近代化にともなう大量生産・消費・廃棄システムで発生するゴミ・環境問題解決のために、ゴミの減量化・廃棄物再利用・再資源化する循環システム構築を目指す。
循環型社会とは、生産→流通→消費の後に「再資源化・処理」というフェーズを加えてフィードバックループすることにより資源・環境の保全を目指すシステムである。循環型社会では、「リデュース(廃棄物の発生抑制)」「リユース(再使用)」「リサイクル(再利用・再資源化)」「適正処理」という優先順位で廃棄物を処理していくことが求められる。そのコア技術はライフサイクルアセスメント(LCA)技術、すなわち素材設計から廃棄にいたる一連のライフサイクル全体を通して環境負荷を低減する技術体系である。例えば、クリーンエネルギー・燃料電池・ガス化溶融炉などが挙げられる。
循環型社会形成のための法体系としては、循環型社会形成推進基本法を基本的枠組みとして、廃棄物処理法や容器包装リサイクル法などがある。しかし、各種法律には多くの問題点が指摘されており、例えば家電リサイクル法により不法投棄が増加している。容器包装リサイクル法も同様で、費用のほとんどを自治体が負担しているため生産者側が責任を負わない点が問題として指摘されている。
事例研究として、国外では環境先進国ノルウェーのデポジット、ドイツ・スウェーデンにおけるビン再使用の「リターナブル」、国内NGO等民間団体・企業の取り組みとしてカン・ペットボトル回収とガス溶融炉の事例がそれぞれ紹介された。
→ 株式会社 産学共同システム研究所
国立大学法人 北見工業大学
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下関市における廃FRP等再資源化事業の概要
西日本マリンリサイクル/タイムアソシエイツ 吉井氏
「下関市における廃FRP等再資源化事業の概要」というテーマで講演いただいた。廃FRP等再資源化事業は、市の工業団地の一部を借り入れ工場を建設、平成17年6月より稼動している。FRP廃船およびその他廃FRP等について破砕、廃油混合処理等によりセメント原燃料として再資源化しており、循環型社会形成に貢献している。国交省実施の「FRP廃船高度リサイクルシステムの構築プロジェクト」で確立されたシステムを採用している。
FRP廃船リサイクルシステムの概要としては、(社)日本舟艇工業会内に「FRP船リサイクルセンター」を開設し、10県においてFRP船の廃船リサイクルを開始。FRP船は、モーターボート・ヨット・PWC、漁船などFRPを材料とする船を対象とする。
FRPリサイクルシステムとは、ユーザーの窓口となる登録販売所、廃船を集めて粗解体する指定引き取り場所、セメントの原燃料に選別加工する中間処理業者、リサイクル利用を行うセメント工場で構成されている。西日本マリンリサイクル株式会社は、中間処理場を運営する事業場であり、FRP廃船由来の破材をセメント原燃料として再資源化する事業を実施している。西日本10県における唯一の中間処理場である。新技術としては、高性能の破砕機をメインとしたシステム構成で、1m角のFRP破材を20mm以下にまでの破砕と、付着している高塩素濃度のウレタンの除去、廃油混合による熱量調整が可能である。
その社会的効果としては、廃FRPの埋め立てによる環境影響を低減し、処分場確保の一助となる。軽く丈夫で寿命の長い優れた材質であるが、処分が困難であるために需要が低迷しがちなFRPの安定的な製造、販売による新たな需要が期待できる。放置・沈船として廃棄されていたFRP製舟艇の処分処理により、環境浄化および景観美化に貢献できる。
→ 西日本マリンリサイクル株式会社
株式会社タイムアソシエイツ
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