イノベーション・エンジン 鈴木氏 講演サマリー
2001年1月設立、ナノテク・オプトテク等の先端製造ベンチャー企業を対象としたベンチャーキャピタル。現在、「クリティカル・テクノロジー」と「先端技術産業創造ファンド」の2つのファンドを運営している。ナノテク産業は、日本が優位性を持つ先端技術産業であり、大学発ナノテクベンチャーは、大学発ベンチャー全体の約10%である。
現在、投資している事例として(株)フォトニック・ラティス(東北大・川上元教授のフォトニック結晶技術による新デバイス開発)と(株)カンタム14(東京農工大・越田教授のポーラスシリコン電子放出機能技術によるデバイス・ディスプレイ開発・製造・販売)が紹介された。
先端技術ベンチャーの成長段階には「有用性の谷」「経済性の谷」「受容性の谷」の3つがあるが、大学発ナノテク・ベンチャーの場合は、「有用性の谷」が非常に重要な意味を持つ。大学にあるシーズの応用範囲が広く有用であるかどうか。これが、ベンチャーキャピタルがナノテクベンチャーに投資する際の基準となるためである。
この3つの谷の克服のために、大企業や地場企業との協同組織として「ナノテクビジネス協議会(NBCI)」を設立している。また、ベンチャー企業同士の協同は実際には大きな輪として推進力を持たないため、そこにベンチャーキャピタルの役割があると考える。
→ イノベーション・エンジン株式会社
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光コム研究所 浅枝氏 講演サマリー
光コム発生器とその応用製品の製造・販売が主要事業である。光の周波数・位相を精密に制御できる世界一の企業 “The Age of
f”のリーディング・カンパニーを目指している。
事業化の背景としては、光通信システムの大容量化の進展があり、より高精度の光計測と光源が必要であったことがある。光計測は、「光コム」を正確なものさしとして利用することで従来の1000倍の精度で可能になる。光通信では、光ファイバーの芯数が少なくても、光コムを利用したWDM通信で大容量の通信が可能になる。
大学発R&D型ベンチャーの課題でもあるが、コアとなる技術シーズ(光コム発生器)から製品化(高精度光計測器・光通信用光源)あるいは市場化(光計測市場・光通信市場)までの道のりが長いこと、また売上がなかなか拡大していかないことが課題である。課題克服のために、
(1) 潜在的ニーズの顕在化と市場形成、
(2) 市場形成の促進、
(3) 産総研での利用を前提としたプロモーション、
(4) 総合的な広報活動、
といった対策をしている。
もうひとつの課題としては、突出した技術を持つがその他の経営的側面が弱い。人材面では光計測器業界からの営業採用や外部支援の利用を、資金では公的資金の利用やアライアンス、インフラでは東工大のインキュベーションセンター利用により、経営資源のバランスを整備することを考えている。
→ 株式会社
光コム研究所
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